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​よかった本、解析ソフトや手法、思い出など好きに載せて綴ります

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動物の社会ネットワーク分析入門

イワフジツボを使ったネットワーク解析に挑戦したときにお世話になった一冊。解析や図示の際に使用するUCINET、NETDRAWの使い方にも触れてくれています。

 ネットワークの解析を紹介する本は、分子間や組織間のネットワークを例に挙げるものが多かった印象ですが(サンプル数が莫大)、こちらの本は「動物の社会」のネットワークを扱うために、自身のデータとの親和性が高く(サンプル数が少ない場合の例も紹介)、非常に参考になりました!

博士期間中に賞に応募できる機会はそれなりにある.賞に応募できるというのは素敵なことだが,選ばれなかった時には期待度によって大小様々な残念な気持ちと向き合わなければならない.そして,残念だったなという気持ちと,人の受賞を嬉しく思う気持ちはどちらも本物で,両在する.この両材性をハッキリと肯定できるまでは,嬉しいのに残念な気持ちもあるなんて,酷い人間だなと悲しかった.

 この呪縛から私を救ってくれたのは,長年の研究友達である梶本さんである.甲殻類学会で賞をいただいたときに,落ちた経験が多くて,落ちた側の複雑な気持ちばかり経験してきたから素直に喜べなくなるねというと,「誰だって自分の研究が一番面白いと思っているんですから,残念なのは当たり前です!」と言ってくれた.その時に過去のいろんな感情を肯定できたことで,その日からは残念な気持ちも,嬉しい気持ちもそのまま扱えるようになって,とても楽になった.絡んだ感情を紐解くきっかけをくれるのは,いつだって信頼する人の一言である.

​遊佐さん

遊佐さんとの共著論文が多いことから,よく「奈良女にいらしたのですよね?」と聞いていただく.私としては光栄で嬉しく思いながら,そうじゃないんですとこれまでの経緯をお伝えすることにしている.遊佐さんとは,長い付き合いだ.私が学部4年の頃に参加した国際フジツボシンポジウムの懇親会で,静かに手招きをして呼んでくださり,「Charnov (1982) の性配分理論と,Murata et al. (2010) はあなたの研究に役立つと思いますよ」と教えてくれた.会場は騒がしかったのに,遊佐さんの周りは凪のような静けさを帯びていたことを今でも鮮明に覚えている.その時は,フジツボで性配分の研究を続け,学位を取得することになるとは想像もしていなかった.今振り返ると,あの飲み会に遊佐さんの学生さんの安岡さんが参加していたことが,私が研究を続けるかどうかを分け隔てた要因だったように思う.シンポジウムが開催されている白浜から地元の大阪まで,どうやって帰るのかを全く考えていなかった私に,安岡さんは「私たちの車に乗って奈良までいけばいいよ!」と声をかけてくれた.そして「せっかくだから!」と遊佐さんの運転する車の助手席に座らせてくれた.遊佐研からは3人の学生さんが参加していたので,5人でワイワイ話しながら2時間ほどのドライブになると思っていたのだが,ものの数分で後部座席の3人は爆睡,結果として私は遊佐さんと二人で話し続け,到着時には研究室も見学させていただいた.贅沢な時間だった.

 

その後,しばらく連絡を取る機会はなかったものの,卒業研究の論文化に行き詰まった時に,原稿を見てくださり,そこから出版までの長い道のりに根気強く付き合ってくださった.その後も,様々な面で数えきれないほど助けていただき,現在に至る.

 

遊佐さんは何事に対してもニュートラルな人だ.相手が研究者であっても,学生であっても,一般の方であっても,同じように接し,机上でも野外でも関係なく,目の前にある科学そのものを心から楽しんでいるように見える.一緒に研究の話をする時間はこの上なく楽しい.

 

野外調査をしているとき,人の原稿を添削しているとき,大変な時など研究活動の節々で遊佐さんの言葉や振る舞いを思い出し,物事を判断する瞬間はたくさんある.山積みになったGmailのタスク一覧,数分でも時間があればパソコンに向かい仕事を進める背中と,どれだけ忙しくても打ち合わせなどの約束を忘れず,原稿を返してくれた事実を思い出しては,私も頑張りたいなと何度も立ち上がれた.静かで穏やかな中に,熱く強いものを持った人だなと思う.遊佐さんのように周囲の人や物事の良い面に焦点を当てながら物事を進められるような人になることが私の一番の目標である.

Fisher (1930)

​Fisher性比について初めて記述されたFisher (1930) のイントロ。私が2019年から悩んでいた霧をスッキリさっぱり無くしてくれた素敵なイントロでした(この悩みが何であったかは自分の中にしまっておきます)。

 Fisherはイントロで「数理学者と生物学者の違いは、想像力の違いにある」と述べ、数理学者は抽象世界や虚数などで想像力を発揮し、生物学者は現実の生物の多様性で想像力を発揮する、そのため互いの想像力の世界を理解できる教育が望ましいと述べています。

 研究者として1つの想像力を極める方に力を注ぐ道、想像力を増やす方に力を注ぐ道、あるいはその両方と辿る道は様々ですがどの方針にも肯定的で、共同研究の重要性も説いてくれているような、素敵な文章でした。一人でも人とでも想像力を増やし深めながら研究ができたら、数年後はさらに研究が楽しくなっているだろうなと思います。

​国際会議

​博士期間中に国際学会・会議に参加し、自分が満足できる口頭発表をする。これは私が博士中に達成したかったことの一つである。これを達成することで2019年の苦い思い出を乗り越え、研究をもっと楽しいものにしたかった。2019年、東京で開催された国際フジツボシンポジウムで私がした口頭発表は酷かった。これを超える酷い発表を私は見たことがないし、これから見ることもないだろう。緊張で原稿は飛び、発表はしどろもどろ。質疑応答では英語力の低さから満足できる回答もできなかった。もう一生口頭発表はしたくない。そんな思いを抱えたタイミングで子供が誕生し、育児に追われる日々が始まった。そんな育児の最中でもあの最悪の口頭発表が頭をよぎることがある。よぎればよぎるほど、この思い出を超えられるのは自分自身しかいないこと、克服したい気持ちが育ちつつあることに気づいた。

 夫(研究者)がお義父さんに「優秀じゃない生徒もいて大変じゃない?」と問われた時に「優秀じゃない生徒はいない。もしそう感じるのであれば、その子にあった方法が見つかっていないだけ。​」と淡々と回答した。そのやり取りを隣で聞きながら、私も方法自体を見直した方が良いのかもしれない。そんな思いが生まれた。そこからはとにかく上手い人の方法(口頭発表スタイル、スライド作成など)を見よう見まねで取り入れ、時にアドバイスを乞いながら、模索する期間が続いた。スライドの作成については改善点が山のようにあったので、ここには書ききれないが、発表技術については出来る限り「原稿は作らない」という方法を取ってから、発表が楽しいなと思える瞬間が多くなった。

​ 試行錯誤の上挑んだ国際会議での口頭発表。おかげさまで2019年のような悪夢にはならなかったが、見つかった課題は盛りだくさんである。でも不思議と2019年のような暗い気持ちではなく、明るい気持ちで、この新しい課題に向き合おうと思っている自分がいる。それは多分苦手に向き合う方法と、その楽しさを知ったからかもしれない。

  明言しておかないといけないこととして、学会に参加する醍醐味は良い発表をすることではなくて、発表や交流を通じて、自分の研究に新しい刺激をもらい、共同研究などを含み新しい展開を広げていけることだと思っている。私は性の可塑性というトピックが大好きだが、国内でその話題の集会が開かれることは稀であり、研究者人口も限られている。でも一歩日本を出ると、そのようなトピックが好きな研究者が集う機会は存在していて、その場に入って最新の研究を浴び、自分の研究と学問分野としての今後の方向性について議論し、想いを馳せ、次はXXで会いましょうと未来の約束をしながら、また研究頑張るぞ〜という気持ちで胸がいっぱいになって帰路につく、そんな機会が用意されている。それをどれだけ楽しいものにできるか、その一部に発表技術が含まれていると考えています。

 最後に、カオスだったスライドにたくさんの指摘をくれた後輩IくんOさん、「原稿を作らない」という方法を教えてくれた京大のSさんに深謝です。

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Rによる数値生態学

クロフジツボの死殻内の生物相調査で初めて群集データを扱ったときに

非常にお世話になった一冊です。

 群集データをどういった解析手法で調理すれば、正しく美味しくなるのかが詳細に述べられているだけでなく、実際にRで解析する際のコードも丁寧に記載されています。

 単純な種間関係しか扱ったことのなかった私が、群集の世界に飛び込めたのはこの一冊の力が大きかったです。

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